英文法解説講座

英文法解説講座(第2回)

英文法の解説講座です。今回は名詞・動詞・形容詞・副詞といった、日英に共通する品詞を深く丁寧に取り上げます。単純容易に思われるところに落とし穴あり。

B.F.S.

英語の品詞と日本語の品詞

品詞とは、単語ごとの文法上の役割(機能)に注目してなされる分類のことでした。単語の意味上の分類ではありません。四季という観点から単語を意味的に分類したものは季語。ほかにもスポーツ用語、料理用語といったような分類は全て単語の意味上の分類ですね。今回の講座ではそれぞれの品詞はどのような性質をもっていて、どのような役割(機能)を果たしているのかということに常に心を注いでください。

英語と日本語とでは品詞の分類において、共通する部分もあれば、異なる部分もあります。以下に代表的な品詞を挙げてみましたので、いろいろと思いながら通覧してみてください。

英語の品詞(代表的なもの)

名詞、形容詞、冠詞、副詞、疑問詞、動詞、助動詞、準動詞(動名詞、不定詞、分詞)、接続詞、関係詞、前置詞

日本語の品詞(代表的なもの)

名詞、形容詞、形容動詞、副詞、動詞、助動詞、接続詞、助詞(とくに格助詞、接続助詞)

例えば、前置詞は英語にあって日本語になく、格助詞は日本語にあって英語になく、ということがいえますね。格助詞は手短に言いますと「てにをは」のことです。さて考えてみると、この英語という言語は格助詞なしできちんと言いたいことが表現できるのでしょうか。我々日本人から「てにをは」を奪い取ると、文章は勿論のこと会話すら成り立たないかもしれません。

いろいろと疑問は尽きませんが、今回はこのうち日英で共通する名詞・動詞・形容詞・副詞を深く掘り下げていきます。

名詞とは何か

もっとも簡単そうでいながらもっとも難しい品詞かもしれません。
役割としては「ものごと・ことがらの名前(名称)を示すことば」としか言いようがありません。敢えて付け加えるとすれば、名詞は全ての品詞の大元にある言ってよいのかもしれません。言語という営み自体、名前を付けるということに始まると考えられるからです。また、名詞の性質は動詞との比較で考えますと、静的で抽象的な傾向があるということは言えるかもしれません。

例えば、走る(run)と走ること(to run)を比較してみます。
①「チャイムが鳴ると一斉に生徒たちは教室を飛び出し、正門に向かって走った。」
②「今日は大雨で廊下が濡れています。晴れた日であれば許されるというわけではありませんが、廊下を走るのはとても危険ですからやめましょうね。」

①の「走った(走る)」も②の「走るの(走ること)」もかたち(品詞)は異なりますが、意味するところはほぼ同じです。ですが、①の「走った」は動的で具体的に映像が思い浮かぶのに対して、②の「走ること」はそれ自体に映像はなく具体性に欠けます。「走ること」がどのようなことかは理解できるのですが、はっきりとした映像は浮かばないはずです。「走ること」そのものをイメージすることはできません。結局イメージしうるのは、「何かが走っている」映像ではないでしょうか。この点に関しては準動詞のところで再考してみようと思っています。

動詞とは何か

動詞とは「(主語の)動作・行為・状態を表すことば」です。これもまた名詞と同じくらい難しい品詞であると思います。性質としては名詞と比較して、動的で具体的な傾向があるということは言いうるでしょう。さきほどの①と②をもう一度見ておいてください。

動詞の特徴としておさえておいていただきたいことは、動詞には必ず主語が存在しているということです。動作には動作主が必ず存在します。走るという行為が行為として成立する前提として、走る人が必ず存在しているはずですよね。ですが、もしかすると、このようなことに思い当ったかもしれません。

Run!(走れ!)

命令文にも主語はあります。この文の意味上の主語は’you’(命令を耳にしている聞き手)です。文法上の主語は存在しません。意味的には主語は存在しているが、文法的にはそれが記述・表現されない場合のひとつが命令文と考えることができます。この「意味していること」と「書かれていること」との齟齬という発想もとても大切なので折に触れて取り上げてゆきます。

名詞と動詞を掘り下げてみて…

深く掘り下げようとして土にシャベルを突き刺した途端に、「カン」と耳をつんざかれた心地です。走り出した途端に壁にぶつかった心地です。ただ名詞や動詞といったことが直観的に分からないということはないと思います。英文法を学ぶうえでは、次のことをしっかり暗記していれば、困ることはありませんから安心してください。

名詞とその役割

名詞とは事物の名称を表すものである。
名詞は、文のなかでS(主語)、O(目的語)、C(補語)の役割を担う。

動詞とその役割

動詞(V)とは人や物(主語)の動作・状態を表すものである。
動詞はそのあとに続く品詞を強度に規定する。(5文型のところで詳しくお話します)

形容詞とは何か

形容詞とは何でしょうか。日本語の形容詞の例を考えてみます。

形容詞の実例(日本語)

電車でのマナーには気を使っているつもりだが、あの日はどうもいらいらしていたようで、ついついiPodの音量を大きくしてしまった。しかも間の悪いことに音漏れを注意されてしまったのである。逆ギレして車両を移動してしまった。音漏れ程度の細けぇことをいちいち注意してんじゃねぇと思ってしまったのである。「良い人」になんてなれやしない。降りたホームでは太陽ばかりが暖かくて、それにすら腹が立った。

ここから形容詞をふたつ取り上げます。
①良い人
②太陽が暖かい

①の機能に着目しましょう。この「良い」という形容詞は「人」という名詞を修飾しています。修飾とは、修飾されているもの(被修飾要素)について、より具体的で詳細な説明をすることです。ここでは「人」と言うだけでは「人」は「人」でも具体的にどんな人かは、はっきりとしませんね。ですから、「良い」という修飾語を付して、より具体的に適切に言いたいことを表現しているのです。形容詞のひとつ目の役割は、名詞を説明することです。形容詞のこのような使い方を限定用法といいます。たくさんいる「人」のなかから、「良い人」だけを限定して話題にあげていることからそう呼ばれます。

②は「太陽が暖かい」という形式で用いられています。この「暖かい」も「太陽」という名詞の説明であると理解できますね。しかし①とはかたち(語順)が異なります。形容詞のこのような使い方を叙述用法といいます。②では、太陽が「どうである」かを述べています。ですから、叙述用法と呼ばれるのです(叙も訓読みすると「のべる」です)。この用法のとき形容詞はC(補語)になります。この点については次回の5文型で扱います。

限定用法も叙述用法も文法上の形式こそ異なりますが、名詞をより詳細に説明して、その内容を豊かにしようとする営みから生じたものと理解できるのではないでしょうか。

形容詞とその役割

形容詞は名詞を説明しようとして発せられる。
その説明はふたつの文法上の形式においてなされる。
①限定用法:形容詞は名詞を修飾する
②叙述用法:形容詞はC(補語)になる

副詞とは何か

副詞とは何か。主詞はないのに何故副詞はあるのか。この「副」は訓読みすると「そえる」と読み、「助ける・補う」を意味します。つまり、副詞は文の主役(文の要素)というわけではありませんが、それを補い助ける役割を担っています。その助け方というのは、やはり語の説明・修飾です。副詞はより詳細により分かりやすく言いたいことを相手に伝えるために使われていると考えてよいでしょう。

形容詞は名詞を修飾しましたが、副詞は名詞以外であれば何であっても修飾することができます(動詞を修飾していると考えると和訳がスムーズにいくケースは多いですが)。勿論、例外も存在しますが、以下の基本事項をしっかと暗記してくださいね。

副詞とその役割

副詞は名詞以外を説明しようとして発せられる。
副詞は文の要素(S,V,O,C)になることはない。

今回のまとめ

品詞のことを持ち出すと「数が多くて忘れてしまう」という声も聞かなくはないですが、日常的に我々はそれと知らずに品詞を使いこなしています。それを冷静に見つめ直しただけに過ぎません。今回の解説もよくよく考えてみれば、あまりに当然のことです。
今回は名詞、動詞、形容詞、副詞という最重要の品詞について解説しましたが、これらの品詞は「文の要素(S,V,O,C)と修飾要素(M)」という考え方を抜きにしては十分に納得のいく説明にはなりませんので、次回はこの点をお話したうえで暗記事項を整理してお伝えいたします。