こんにちは、京大A判おっぐです。
先週から、論理の国シリーズと銘打ち、日本語と数学の論証用語の間にある意味の違いを説明する連載を行なっています。
今回は、「または」についてのお話です。
ねえ!これ買ってきて!
〜1時間後〜
って、モンブランもティラミスもあるじゃん!
(こんな量のケーキどうやって食べるんだよ…)
(「AまたはB」がどっちか一つを表すなんて聞いたことないぞ…?)
「かつ」と「または」の復習をしよう!
さて、「かつ」と「または」の復習をしましょう。
「
一方で、「
論理の世界における「AまたはB」には見落としがちなポイントがあります。それは、どちらも共に成り立つ場合でも真であるということです。どちらも成り立つ必要はないと述べましたが、どちらも成り立つのは十分なのです。「必要」「十分」周りの言葉の詳細については前回の記事で解説しています。ややこしいと思った方は是非とも読んでみてください!
例えば「この玉は、丸いまたは青い」という命題は、玉が少なくとも丸いか青いかのどちらか一方である場合のみならず、玉が青くて丸い場合にも真となります。
日本語の「または」は二者択一!?
ところで、日常生活に溢れる「AまたはB」は、必ずしも両者が共に成り立つことを認めません。
例えば「1等当選者にはハワイ旅行ペアチケットまたは極上炊飯器をプレゼント!」と謳う抽選会で、1等当選者にハワイ旅行と炊飯器を一緒に渡す場合なんてまずありません。
日本語の「または」は、「二者択一」を意味することがあります。これは、上の例の通り、2つの「もの」のうちのどちらか一方を指すときに使われます。
しかも、二者択一の用法で挙げられる2つの「もの」は決して論理式ではありません。論理式とは、それ自体の真偽を誰でも白黒はっきり言えるもののこと。一方で日本語で並べられるものは、「ハワイ旅行ペアチケット」「極上炊飯器」のような真偽もクソもないただの物体(または事象)ばかりです。ですので、日本語の「または」から真偽を判断することもできません。
このように、日常生活における「または」の使い方は、論理の世界における用法と全く異なるのです。勉強って基本的に新しく学ぶことを日常生活で得た具体例に紐づけて覚えていくものです。しかし、論理の用語については日常的な使い方と紐づけるとかえって混乱を生む可能性があるので注意してくださいね!
ちなみに、「条件」を言うときは、日本語における「または」の用法が論理におけるそれとほとんど同じになります。
おわりに
今日は、「または」について、日常における用法と論理(や数学)で使われる用法の違いを詳しく見てみました!
次回は、「ならば」に潜む注意すべきポイントをみていきます!