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「または」の用法が違いすぎる!?|論理の国の友達シリーズ

この記事を書いた人
おっぐ

こんにちは、京大A判おっぐです。

先週から、論理の国シリーズと銘打ち、日本語と数学の論証用語の間にある意味の違いを説明する連載を行なっています。

今回は、「または」についてのお話です。

おともだちの紹介
論理の国の友だち
何事においても論理の厳密さに重きが置かれるロジカルネーションの民であり私の友人。論理の国は一見すると遥か彼方の国家のように思えるが、受験を超えた先に待っている意外と身近な世界なのかも知れない。

ねえ!これ買ってきて!

おっぐ
せっかく遊びにきたんだから、パーティーでもしようよ!
論理の国の友だち
お、いいね〜
おっぐ
じゃあ、パーティーのために、モンブランまたはティラミスを買ってきて!
論理の国の友だち
おっけ!

〜1時間後〜

論理の国の友だち
ケーキ買ってきたよ〜
おっぐ
ありがとう…

って、モンブランもティラミスもあるじゃん!

論理の国の友だち
「または」って言ってたし、どっちも美味しそうだったからどっちも買ったよ
おっぐ
いやいや、「または」って言われたら普通どっちか一つだけ買うでしょ!
(こんな量のケーキどうやって食べるんだよ…)
論理の国の友だち

(「AまたはB」がどっちか一つを表すなんて聞いたことないぞ…?)

「かつ」と「または」の復習をしよう!

さて、「かつ」と「または」の復習をしましょう。

AかつB」は、AとBがともに成立するときだけ真になります。逆に、どちらか一方でも成立しなければアウトです。日本語では「(2つを)ともに行う」という意味で使われがちですが、この用法は論理での意味に通じる部分があります。

論理の国の友だち
日本語「よく遊びかつよく学ぶ」は、論理における用法と少し違うけど、遊びも学びもやってはじめて達成できることを示している点で、論理における用法とちょっと似てるよね。

一方で、「AまたはB」は、AかBのいずれかが成立するならば真になります。どちらも成り立つ必要はありません。

論理の国の友だち
命題「この玉は、丸いまたは青い」は、玉が少なくとも丸いか青ければ真だよね

論理の世界における「AまたはB」には見落としがちなポイントがあります。それは、どちらも共に成り立つ場合でも真であるということです。どちらも成り立つ必要はないと述べましたが、どちらも成り立つのは十分なのです。「必要」「十分」周りの言葉の詳細については前回の記事で解説しています。ややこしいと思った方は是非とも読んでみてください!

例えば「この玉は、丸いまたは青い」という命題は、玉が少なくとも丸いか青いかのどちらか一方である場合のみならず、玉が青くて丸い場合にも真となります。

日本語の「または」は二者択一!?

ところで、日常生活に溢れる「AまたはB」は、必ずしも両者が共に成り立つことを認めません

例えば「1等当選者にはハワイ旅行ペアチケットまたは極上炊飯器をプレゼント!」と謳う抽選会で、1等当選者にハワイ旅行と炊飯器を一緒に渡す場合なんてまずありません。

おっぐ
冒頭の会話はこうした例の1つですよ!

日本語の「または」は、「二者択一」を意味することがあります。これは、上の例の通り、2つの「もの」のうちのどちらか一方を指すときに使われます。

しかも、二者択一の用法で挙げられる2つの「もの」は決して論理式ではありません。論理式とは、それ自体の真偽を誰でも白黒はっきり言えるもののこと。一方で日本語で並べられるものは、「ハワイ旅行ペアチケット」「極上炊飯器」のような真偽もクソもないただの物体(または事象)ばかりです。ですので、日本語の「または」から真偽を判断することもできません。

このように、日常生活における「または」の使い方は、論理の世界における用法と全く異なるのです。勉強って基本的に新しく学ぶことを日常生活で得た具体例に紐づけて覚えていくものです。しかし、論理の用語については日常的な使い方と紐づけるとかえって混乱を生む可能性があるので注意してくださいね!

ちなみに、「条件」を言うときは、日本語における「または」の用法が論理におけるそれとほとんど同じになります

おっぐ
もしこのような場面で2つの命題を二者択一的に結ぶときは、「〜のどちらか一方が…」というフレーズが使われがちです。

おわりに

今日は、「または」について、日常における用法と論理(や数学)で使われる用法の違いを詳しく見てみました!

次回は、「ならば」に潜む注意すべきポイントをみていきます!

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