保護者様、受験生の皆様
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今回の記事では、共通テスト英語の過去問を用いて、解法テクニックや、受験生が間違えやすい箇所、陥りやすい罠などについて解説したいと思います。是非過去問演習にお役立てください!
今回の題材:令和3年度 共通テスト 英語リーディング 第2問
前回の記事:センター英語で97%を獲得した京大生が解説!【令和3年度(2021年)共通テスト】英語-リーディング 第1問
宅浪(=予備校に通わず自宅にこもり独学)で京大に合格した経験を持つ。宅浪時代には偏差値80を出し、京大オープン/実戦模試では常に冊子掲載者(=A判定上位)となる。その後、自身の経験を多くの受験生に伝えるべく受験指導のB.F.S.にて家庭教師や学習コンサルタントとして受験生の戦いをサポートする。
過去の記事:偏差値80の京大生が解説!受かる共通試験対策と落ちる共通試験対策
第2問の特徴
第2問 A
この問題の特徴は、導入文、表、長文箱(英文が記載された箱)×2の、計4ブロックで構成されています。そして設問数が5つとなっており、恐らく4つのブロックのそれぞれが、5つの設問を解くヒントとなっていると理解できます。では実際に解き進めてみましょう!
ステップ1:問題のテーマをつかむ
まずは導入文を読みます。これから自分が解き進める問題が一体何について書かれているのかをここでさっと理解します。
「As the student…」
で始まるこの部分を頭の中で要約しましょう。だいたい「学生がバンドで競う。審査員の得点やコメントを見てあなたは評価する。」ぐらいに理解できればOKです。
ステップ2:設問の内容をざっと頭に入れる
問題について概観できれば、次はこの後で問われることは何か?をあらかじめつかんでおきましょう。自分が把握すべきポイントを理解しながら読むのと、そうでないのとでは、いざ設問を落としにかかる(正解を導き出す)時に頭の中に残っている記憶の質が変わります。つまり、設問で聞かれることを予め把握した上で問題文を読み進めた場合の方が、重要な単語や文章がより色濃く記憶に残るからです。
では設問をざっと把握しましょう!
問1 Based on …
⇒「the judges’ final average scores」によると、どのバンドが最も上手に歌ったか?
問2 Which judge…
⇒ 良し悪し両方のコメントをしたのはだれか?
問3 One fact…
⇒ 「the judges’ individual comments」から判断するに「事実」なのはどれか?
問4 One opinion…
⇒ 「the judges’ comments と shared evaluation」から判断するに「意見」なのはどれか?
問5 Which of…
⇒ 「the judges’ shared evaluation」によると最終的な順位は次のうちどれか?
さて、設問をざっと訳したところ上のように理解できるはずです。一方で、基本的には設問数が多くなれば全ての設問の内容を暗記したまま本文を読み進めること難しいでしょう。少なくとも私の場合、今回でいえば3/5くらいしか頭に入れておくことはできません。
ただそれは心配無用です。なぜなら、設問の順番と、設問のヒントが本文で登場する順番はほぼいつも等しいからです。つまり、まずは問1、問2くらいの設問分の内容が頭に入っていればOKです。後半の設問はそのヒントが登場しそうな部分を読む始める前に再確認すればOKです。
ステップ3:問1を倒す
設問を訳し、特に問1で問われている内容を念頭に置きます。
問1 Based on …
⇒「the judges’ final average scores」によると、どのバンドが最も上手に歌ったか?
「the judges’ final average scores」に答えを導くヒントがあると気が付くはずです。さてこれはどこにあるかと本文に目をやると、2つ目のブロック(表)のタイトルに「the judges’ final average scores」と付けられています。つまり問1のカギはこの表にあると判断できます。
そして問1のもう一つの重要なポイントは「…最も上手に歌ったか」です。このことから表の中で歌うという基準で最も点数の高いバンドが正解となるだろうと類推できます。
つまり正解はSingingで最も点数の高い②Mountain Pearと分かります。
ステップ4:問2を倒す
問1を回答できれば次に進みます。このタイミングで問2の内容をさっと再確認しましょう!
問2 Which judge…
⇒ 良し悪し両方のコメントをしたのはだれか?
まずポイントは、「…コメントしたのはだれか」という部分です。コメントということは2つ目のブロックでは読み取れません。なぜならこの部分ではあくまでも得点(点数)しか記載されていないからです。つまり3つ目以降のブロックを読み進めていく必要があると推測できます。
そして2つ目のポイントは「良し悪し両方のコメント…」という部分です。恐らく審査員のうち良いことと悪いことの両方の評価をした人がいる、そしてその人が正解に該当すると推測できます。
さて3つ目のブロック以降に回答の手掛かりがあると分かりました。読み進めていきましょう。上から読み進めていくと、「Mr Hobbs」は良いコメントのみだと読み取れ、続く「Ms leigh」のコメントで悪いコメントを見つけられるはずです。これは、重要テクニックの1つ「逆説以降が重要箇所」を駆使すればこの部分に注意を払えたはずです。
「Ms leigh」が良し悪しの両方のコメントをしていることを読み取れましたが、念のために「Ms Wells」のコメントも確認しましょう。見てお分かりの通り、良いコメントのみだと分かります。つまり、問2の回答は②Ms Leighと判断できます。
ステップ5:設問文を正しく理解し問3を倒す
問2を倒したところで問3を見てみます。
問3 One fact…
⇒ 「the judges’ individual comments」から判断するに「事実」なのはどれか?
まずポイントは、「the judges’ individual comments」の中で…とあるので、回答の手掛かりは問2と同様に3つ目のブロックにあると判断できます。
2つ目のポイントは、「…「事実」なのはどれか?」という記載です。この設問を解くカギは「事実」ということばの定義を正しく理解できていることです。なかなかの難問だと思います。英語力の前に国語力が問われているからです。
コトバンクによると[事実とは…実際にあった事柄。]と定義されています。つまり、問3の選択肢の中でthe judges’ individual commentsから事実と判断できるものが正解となります。
では実際に設問の選択肢を見てみましょう。
①は「審査員の全員がGreen Forest’s songを褒めたか?」と訳すことが出来ます。確かに3つ目のブロック(the judges’ individual comments)では「song」という単語を用いつつ全審査員が「Green Forest」を褒めていることが見て取れます。
つまり、「「審査員の全員がGreen Forest’s songを褒めた」ということは事実ですか?」問いに対してはYESとなります。これが正解っぽいですが念のためにすべての選択肢を精査しましょう。
②は「Green Forestはもっと練習する必要がある」と訳せます。確かに「Ms Leigh」はこんなことを言っています。記載自体はありますね。ただこれは事実にあたるでしょうか?事実の定義を再確認すると「実際にあった事柄」です。つまりこれは事実ではなくあくまでも「Ms Leigh」の意見に該当します(「I think…」で始まっていることからも意見であると分かります)。なので記載自体はあるが問3の回答としては不適と判断できます。いやー難しいですね。
③は「Mountain peerはとても上手に歌うことが出来る」と訳せます。確かに「Mr Hobbs」のコメントにおいても、Mountain peerの歌唱力の高さを評価しています。しかしながら、これは事実でしょうか?非常に難しい判断が必要ですが、これもあくまでもMr Hobbsの評価にすぎません。よって選択肢③も記載自体はあるが問3の回答としては不適となります。
④は「Silent Hillは将来有望である」と訳せますが、これが事実か否かを考えるとどうでしょうか。これまでの選択肢とは違い、これが事実であるかどうかの判断は容易かと思われます。確かに「Ms Leigh」の記載の中にこのようなことが記載されていますが、これは事実ではありませんね。
つまり正解は①と判断できます。ここまでを通して、①とそれ以外の選択肢で問われている内容の違いが浮き彫りになってきました。選択肢①で問われているのは審査員が褒めたのは事実かどうか?です。一方で、②~④は審査員の発言の内容自体が事実かどうかを問われています。言葉の定義を理解していることが大前提となり、かつ、どの選択肢の内容も本文で見つけられるが故に非常に難しい問題になっています。設問を正しく理解しなければ「すべて正しく見えてしまう」蟻地獄にはまってしまう問題ですね。
ステップ6:設問文を正しく理解し問4を倒す
さて問3と戦い終え、いよいよラスト2問です。問4の設問を改めて確認すると、
問4 One opinion…
⇒ 「the judges’ comments と shared evaluation」から判断するに「意見」なのはどれか?
まずポイントは、「the judges’ comments と shared evaluation」とあるので、最後のブロックも読み進めないと解けないことが分かります。
2つ目のポイントは、「意見なのはどれか」とあるので、問3同様に「意見」の定義を理解していることが大前提となります。さてコトバンクによると意見とは、「ある特定の事物や人物、さまざまな社会的な問題やできごとに対する態度、信念、考え方、価値判断などを、ことばによって表明したもの」と定義されています。問題の構成上、問3の事実の対になる概念なのでは?とおよそ類推もできます。
2つのポイントをさっと頭に入れて、最終ブロックも読み進めましょう。さて、読み終えたところで問4の選択肢を精査していきましょう。
①は、「それぞれのバンドは合計点が同じであった」と訳せます。さてこれは意見でしょうか?つまり3つ目と4つ目のブロックで、いずれかの審査員によって言葉で表明されたものでしょうか?これは2つ目のブロックで表に出された数字的な事実です。つまり意見ではないと判断できます。
②は、「Ms Wellの独自性についての提案は合意されたか?」と訳せます。確かに第4ブロックのラスト3行で合意されたことがうかがえます。ただ、これも意見にはなりませんね。合意されたのは事実であって、意見という概念には当てはまりません。
③は、「Silent Hillは本当に観客と結びついていた」と訳せます。これは3つ目のブロックでMr Hobbsによって言葉で表明された内容の一つです。つまり意見となります。正解はおよそ③だと見当がつきますが、ただ念のために④の選択肢も確認しましょう。
④は、「審査員の コメントは順位を決定づけた」と訳せます。これは誰かによって言葉で表明された意見ではありません。
つまり正解は③と判断できます。問3と比べて、「意見」という言葉は誰かが口に出した考えのようなイメージを多くの人が持っているので、問3に比べると解き易かったかと思われます。
ステップ7:問5を倒す
さて問4に回答し、本文も全て読み終えているので、問5の設問を確認しましょう。
問5 Which of…
⇒ 「the judges’ shared evaluation」によると最終的な順位は次のうちどれか?
まずポイントは、「「the judges’ shared evaluation」によると…」とあるので、回答の手掛かりは最後のブロックにあると分かります。2つ目のポイントは最終的な順位を問われている、ということです。つまり4つ目のブロックには、順位を決定づける何らかのルールや定義が発言されていると推測できます。この順位付けの方法を探ることを念頭に、4つめのブロックを読み解きましょう。
さて読み進めると2行目に「…performance is the most important…」という一文が見て取れます。これは重要な一文です。このことは「最上級表現が使用される内容は重要」というテクニックからも導き出せます。つまり、performanceという項目での順位が、そのまま全体の順位になるということです。さてperformanceの項目で最も得点が上位であったのはSilent Hillです。つまり総合第1位はSilent Hillと判断できます。選択肢を見ると⑤もしくは⑥のいずれかです。一方で、残り2バンドの得点は3.9で等しいので、この時点で残り2バンドに順位を付けるのは不可能です。つまり問題文の続きにそのヒントが隠されているはずです。
読み進めると、最後の3行でoriginarilityが重要であると分かります。残り2バンドうちoriginarilityでより高い得点であるのは、Green Forestだと分かります。つまり、総合第2位はGreen Forestと判断できます。
以上より、正解は⑤だと導き出せます。
非常に長い解説となりましたが、以上が第2問Aの解説となります。今回の解説は、受験生が実際に試験の中で解き進めることを想定し、問題を解きすすめていく流れとなっております。是非、上記の流れで問題を解き進められるか、そして解き進めた結果、より良い得点を導き出せるのかについてお試しください!
第2問 B
第2問Bについては、是非とも実際の授業を通じて解説できればと思います。この記事では記載しきれないテクニックやポイントなどもまだまだございますので、それらを含めて吸収していただければ幸いです。無料体験授業のお申込みは下記フォームよりお問い合わせ下さい。