2回目の大学に文学部はいかが?
僕はいま大学二回生で関西学院大学文学部に通っています。いまもう数ヶ月したら27歳になろうかとしているところです。
1回目の大学時代から僕は友達が少ない。2回目に期待をしていたわけではないが、期待していた。期待していたかと問われれば期待していたと答えるであろうし、期待していなかったかと問われれば期待していなかったと答えるであろう。
つまり僕はそういう人間であって、頼まれれば嫌とは言えない人間であって、意志の弱い人間である。
未だに「何故2回目の大学に?」の問いに明確に答えることができない。それは僕の怠慢であるし、意志の弱さの現れである。けれども僕自身は、なるべくしてそうなったとしか思っていない。僕は必然性に支配されてあるような気がしているからだ。
ある男が声をかけてひとつの友人の輪に私を迎え入れた。彼は聡明でいて内観の鋭さを思わせる眼差しの冷たさと温かさをもっている。どういう理由で私を誘ったのかは未だ判然とはしないが、僕が話しているとみんなよく笑う。年の差を忘れる。
みんなと交際するようになったのは半年くらいのことで、一回生の頃はだいたい孤独に過ごした。やめたくなるくらいの孤独であった。そんな陰鬱とした頭を抱え上げてくれるかのような暖かい僥倖に僕は恵まれたのである。
大学は広い、個性的で人間豊かな土地である。どんな人であっても掬い上げる受け皿がある。時々私立大学ならではの若者の渇いた靴音に心臓が踏み荒らされるような感覚があるものの、それも束の間のことと思えるようになった。
何故2回目の大学は文学部なのか。いい加減答えねばならない。それは文学部が静かであり、大人しいが子供っぽい人には天国であるからである。文学部はせかせかしていない。先人らの深く広い、思想文学歴史の海に身を投げ出して、ぷかぷかと浮いていられる。ゆっくりとした時間が漂っているひと気のないビーチ。海疲れした友人らも、ジリジリと太陽に焼かれてまたこの海に戻ってくる。最高のバカンスであるからだ。